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イオンの検出(2)

ロッドシステムから送り出されたイオンは再度数KeVまで加速され、SEMの最初のダイノード(コンバージョンダイノード)に当たるように偏向されます。イオンはダイノードに当たると電子を放出し、放出された電子はさらに一連のダイノード(SEM 217は16段、SEM 218は17段)により増倍されます。個々のダイノードに対する電圧は、抵抗回路によって分配されます。衝突する光子、軟X線、高速の中性粒子(ロッドシステムの方向からも飛来します)の影響を最小限に抑えるため、SEMはロッドシステムの軸に対して直角に設置します。イオンは、非荷電粒子に影響を及ぼさない静電場を利用して偏向されます。これにより、可能なかぎり最大限のS/N比(信号対ノイズ比)が得られます。この方法では、最大で10の電流増幅を達成できます。高い電流強度が得られることで、後ろに接続されたエレクトロメータプリアンプのアンプレンジを低感度レンジで測定できるため、高速測定が可能になります。SEM 217は、エレクトロモータモード(正イオンのみ)と「シングルイオンカウンタ」モード(正負イオンの両方)のどちらのモードでも使用できます。図3は、さまざまな動作モードとその電気回路を示したものです。

電圧デバイダー 連続 1MΩ/ダイノード
増幅度 106 at 2.5kV 108 at 3.5kV
配置 Off-axis 90°off-axis
最大許容電流 10-6A 10-5A
動作時の最大許容温度 120℃ 150℃(1kV時)
最大ベーキング温度 300℃ 400℃


ただし、二次電子増倍管を質量分析器で検出器として使用することには、ダイノードが連続タイプであれ非連続タイプであれ、いくつかのデメリットが伴います。また、定量分析では、二次電子増倍管は不確実性や誤差の原因にもなります。コンバージョンダイノードに衝突した1個のイオンが放出する電子の数は、イオンの質量や種類だけでなくイオンの持つエネルギーによっても異なります。C-SEMやSEM 217では、イオンの衝突エネルギーはほぼSEMの動作電圧(最大で3.5 kV)に相当します。この程度の衝突エネルギーの場合、たとえば100 AMU〜500 AMUのマスレンジにおけるイオン/電子変換率は約1/3に低下します。これを防ぐために、SEM 218には電気的に絶縁されたコンバージョンダイノードが搭載されています。コンバージョンダイノードに印加される電圧は、−6.3 kVと固定であるため、イオンエネルギーも高くなります(図3のb)。これにはデュアル高圧電源HV 421に関係したもう一つのメリットがあります。それは、変換率とは無関係にSEMによる増幅を選択できるという点です。

図3

a) イオン電流アンプによる正イオン検出
b) コンバージョンダイノードを用いたイオン電流アンプでの正イオン検出
c) イオンカウンティングによる正イオン検出
d) イオンカウティングによる負イオン検出


また、動作中に表面の状態や二次電子の生成量が変化することもあります。より正確な定量測定を行うには、増幅率を定期的にチェックし、必要に応じて装置をキャリブレーションし直す必要があります。それには、検出器にファラデーカップを使用した比較測定が適しています。SEMは、(一定の時間長で値を平均する)「電流増幅器」ではなく「イオンカウンタ」(図3のcおよびd)として使用する場合は、このような誤差を生じることはありません。イオンが発生させる短いパルスは、個々に容易に検出できます。その場合、検出限界は向上し、10秒あたり1個未満のイオンの測定が可能です。個々のイオンが発生させるパルスは、直接カウントするか、または標準化した後で集計します。カウントのロスをできるだけ少なくするためには、イオンエネルギーだけでなく増幅率も十分高くする(>106)必要があります。

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